開催報告 ODS第2回研究会 「産官金連携による持続可能な地域商社事例 ~電力小売を主事業にICT推進、長崎県南島原市~」

一般社団法人SDGsデジタル社会推進機構(ODS)は、さる10月20日に第2回研究会「産官金連携による持続可能な地域商社事例~電力小売を主事業にICT推進、長崎県南島原市~」と題してオンライン講演会を開催しました。そのご講演内容をご紹介します。

「南島原市における地域商社の必要性」
南島原市役所 地域振興部 商工振興課 副参事 中島 英治 様

私は平成17年4月に、自分が生まれ育ちました旧南高来郡有家町の有家町役場に入庁し、12年9カ月にわたって観光の仕事に携わりました。現在の商工振興課には2020年の4月に異動してきまして、今の業務は主に、地域商社である株式会社ミナサポに関する各種調整と、今年の2月から南島原市が九州で初めて取り組んでいる、MINAコインという電子地域通貨事業の推進になります。

南島原市の大きな課題は、人口減少と少子高齢化です。15年間で1万人を超える人口が減少しています。15歳未満の年少人口が減少し、65歳以上の高齢人口が増加して、高齢化率が約40%という状況です。また若い世代の市外への転出者が転入者を上回っているため、毎年約400人減少しています。

そのため地場産業の維持が難しくなってきており、人口減少、少子高齢化による担い手の不足は、いずれの産業においても非常に深刻な問題となっています。

そこで設立したのが、株式会社ミナサポです。2018年10月31日に、住民ニーズに合ったきめ細かなサービスの展開と、地域の魅力を情報発信することで、南島原市の認知度を向上させることを目的に設立しました。

市の特長を生かした課題解決へのアプローチをこの会社の機能として持たせ、その結果、市が描いている将来像、「これからも住み続けたい、住んでみたいまち、みなみしまばら」というスローガンを、達成することを目指しています。市としてミナサポに期待することは、行政や市ではカバーできない部分を、事業者や住民の方に寄り添いながら事業を進めていくこと、それから、ミナサポ側も利用者から対価をもらい、事業として運営していくことで事業の継続性を保っていく、という2点です。

 

ミナサポの役割は、出資4社が持っているノウハウをうまく生かし、南島原市が抱えている課題を解決していくことだと考えています。出資4社とは、びぎねっとのIT人材育成、ハタプロのAIなどのソフトを活用した事業展開、パシフィックパワーの電力供給事業、それから、十八親和銀行の人材交流・育成による人口減少対策。こういったものをうまく活用しながら事業を進めていただきたいと考えています。

ちなみにミナサポの運営コストは、設立に際しての出資金以外、全てミナサポの運用で賄っております。もちろん、商工振興課の職員も業務として一部ミナサポの事業に関わっていますので、事業内容を共有しながら一緒に動いているという部分はありますが、費用的な負担はないということです。

ミナサポでは、令和2年度に小売電気事業で、公共施設の高圧に66施設、低圧に26施設、合計で92施設に電力供給しました。それから一般家庭にも一部、電力供給を行っています。電力を供給する公共施設については、ミナサポが収益を取ることができ、かつ南島原市の電気代の削減が図れる公共施設を洗い出し、92施設を選び出しています。結果、南島原市は年間2,700万円の電気代の削減を図ることができ、ミナサポは収益の大部分をこの事業で賄うことができています。

この小売電気事業を軸に、IT人材育成事業として小学校へのドローン寄贈、プログラミング学習のサポート、地域支援事業としてふるさと納税の返礼品登録補助、地元企業のホームページ作成や動画配信、AI/IoTソリューション事業として独居老人のサポート、MINAコイン事業におけるスマホの普及活動、などの事業を展開し、少しずつ収益を上げております。

MINAコインというのは、南島原市限定で利用可能なスマートフォンを利用した電子地域通貨、電子マネーです。いわゆるPayPayなどの電子マネーの南島原市版、南島原市限定版です。南島原市と地方銀行の十八親和銀行、ミナサポ、南島原市商工会、十八親和銀行の親会社である福岡フィナンシャルグループが連携して、この事業を進めています。

今年の2月1日から運用開始をしており、市内の加盟店での資金の流通促進を行うことで、地域内で資金循環をどんどん拡大させ、地域の活性化を目指すことが一番の目的です。

今は、決済サービスのみですが、これから地域の情報発信機能や納税機能などを加えていき、地域ならではの電子地域通貨を作れたらと思っております。MINAコインは、期間や地域などを限定しない電子地域通貨としては、九州では初めての取り組みとなっております。

今後、南島原市としては、ミナサポと、脱炭素化社会移行に向けた電力の地産地消PPA(太陽光発電の第三者所有モデル)の取り組みを検討したいと考えています。例えば太陽光発電の設置など、電力事業者の事業として効果的なのかという検証も含め、検討したいと思います。また、今は公共施設への電力販売がメインですが、ミナサポでも電気商品をたくさん持っていますので、一般家庭向けの電力販売事業も展開したいと考えています。

それから、先ほど紹介しましたMINAコインでの電気代の支払いが今月7日からできるようになりました。そういったものをぜひ市内市外問わず、どんどんPRしていただきたいと思っています。卒FIT(太陽光発電の固定価格買取期間満了)の買い取りができる企画もミナサポで持っていますので、お客さまのニーズに合わせて、ぜひ提案していただきたいと思っています。

そのほかの今後の取組みとしては、独居老人の緊急通報サービスという既存のサービスについて、サービス内容や料金設定などを、今、ミナサポとハタプロで、いろいろ検証いただいているところです。今後、実証実験を行う予定と聞いていますので、ぜひ実用化に向けて話を進めていただきたいと期待しています。

MINAコインの普及に向けた、スマホ教室等の実施も、引き続きしていただきたいと思っております。

それから、IT人材育成事業についても、こちらは先行投資の部分もあるかと思いますが、今後、南島原市で、企業を動かせるようなIT人材を作る取り組みができていけば、非常に理想的かと思っております。

現状ではミナサポの事業収入は電気事業に偏っていますので、今後はこれらの事業が、南島原市の課題を解決しつつ、ミナサポの収益ともなる事業になればと思っています。また、そういった経験を次の事業展開につなげてもらいたいと思います。

ミナサポ設立からまもなく3年ですが、徐々にミナサポの名前が、地域に浸透している実感を持っております。今後は、より事業を拡大していただき、一人でも多くミナサポでも雇用を生み、また、南島原市での可能性を示すことができる地域商社になってほしいと思います。そのためにわれわれも業務部として一緒に頑張って、ミナサポを盛り上げていきたいと思っております。

「新電力事業を主事業とし、地域貢献を目指す地域商社」
株式会社ミナサポ マネージャー 梅野 大介 様

私は、廃校小学校を地域の活動拠点として活用する活動など、南島原市の地域おこし協力隊として長崎県のプロジェクトや南島原市の企画・計画に立ち会ったのち、2019年1月に、ミナサポに入社しました。今回は長崎県南島原市の地域商社であるミナサポがどういった活動をしているのか、またどういうスキームで地域商社を回しているのかというお話ができればと思っています。

 

南島原市は、若者の流出もあり、高齢化率が、令和2年度で39.4%、2.5人に1人は65歳以上という状況です。ただ、こういった高齢化率が高い所だからこそ、今後日本が各地で直面する様々な課題が出てくる最先端の場所かと思いますので、こういった地域でAI、IoTを活用していくということは、すごく意義があることかと思っております。

株式会社ミナサポが特徴的なのは、民間3社と金融機関1機関、そして行政1団体の5団体が出資をしてできた企業という点です。

出資したのは、びぎねっとというIT教育やITビジネスコンサルティングを行う企業、AIロボットのハタプロ、電力事業をしているパシフィックパワー、長崎の金融機関である十八親和銀行と、南島原市です。パシフィックパワーは自治体新電力という自治体が出資する電力会社を、ミナサポを始め13社設立しています。ミナサポは、この5団体の出資で2018年の10月31日にできた、まだできたての企業になります。

まず、ミナサポのビジネススキームのお話をさせていただきます。ミナサポは、小売電気事業、びぎねっとのIT人材育成事業、ハタプロのAI・IoTソリューション事業、地元の産業を応援する産業支援事業、情報発信事業、この5つの事業を行っています。

その中の小売電気事業を収入のコアにして、ここで得た収益で、残りの部門に投資をしていき、地域経済を回していこうというのが、ミナサポのビジネススキームになります。残りの部門ももちろん、収入が得られないわけではないのですが、IT人材の教育など、初期段階は、費用がかかってくるものになりますので、そこには投資をしていき、地域経済を回していこうというのが、ミナサポのスキームになります。

小売電気事業を収入のコアにと申し上げましたが、実際どのように収益化しているのかについて、簡単に説明をさせていただきます。

今まで需要家が電気を買う時には、発電事業者と電気を売る所があり、需要家はそこから電気を買っていました。他に選択肢はなかったのです。これが2016年から、電力小売完全自由化が始まり、電気を利用される皆さんが、電気を好きな所から選んで買えるようになりました。この電力自由化によって、新しく自治体新電力というものが生まれました。

ミナサポでは、電気を作っていません。では、販売する電気をどのように調達しているのかといいますと、新しくできた日本卸電力取引所、JEPXというところから買っています。 JEPXというのは、独立系の発電事業者などが、発電した電気を販売しているところです。

もう一つは、行政や民間事業者が発電している電力、例えば行政が持っているメガソーラーや、ごみ焼却場で発電している電力を買う方法があります。そうやって購入した電力をミナサポが需要家に販売する、これが電力の流れになります。

この電力販売ですが、2019年から、まずは南島原市の公共施設への販売から始めました。92カ所の公共施設に安く電力を販売し、南島原市の電気代が年間で2,700万円削減になりました。かつミナサポも、この小売電気事業で、地域貢献事業に投資ができる収益を、確保しています。

小売電気事業の収益を使い、地域商社であるミナサポは、地域貢献として、何をすれば良いか、南島原市の課題は何かということについて検討した結果、ミナサポはIT人材育成に取り組んでいます。

都市部に住まれている方は、あまり実感されないかもしれませんが、特に南島原では、地元に残る人は農地がある、もしくは跡継ぎという方がほとんどで、それ以外の方は、南島原を出ていって帰ってきません。なぜ出ていくかといいますと、南島原市はもちろん、島原半島には大学も専門学校もありません。ですので、進学しようと思った時には、必ずこの島原半島を出ていってしまいます。そして地元には跡取りがいるので、もう戻ってきません。さらに、例えば今回のコロナ禍で、地元に戻りたいと思っても、自分でしたいとおもう、求めている仕事が地元にはない、だから、帰れないという声がたくさんありました。

その課題を解決するため、ミナサポでは、 南島原市でIT人材を育てていきたいと思っています。ITスキルを学ぶ機会や、エンジニアの方と話せる機会を提供し、南島原市にいながらオンラインで働けるスキルを身に付けてもらえればと思っています。

今、小学校、中学校、高校では、プログラミング学習の授業が始まっています。こういったプログラミング学習をサポートするための活動として、ミナサポでは、オープンキャンプとして、長崎県内の大学生、専門学校生、高校生に、南島原市にあるキャンプ場に来てもらい、ITスキルを学んでもらっています。夜は、エコ・パーク論所原というキャンプ場でカレー作りなどをしながら、チームビルディングを学び、エンジニアの方とIT業界について話をしてもらいます。こういった機会づくりを2019年からミナサポ主体で行っています。

2019年は50名ほど集まりました。2020年はコロナの影響でオンラインでの実施でしたが、「AIの技術を使ったキュウリの選別」という基調講演を行い、約80名集まりました。

また、これは2019年度の話ですが、小中学校のプログラミング学習が必修化になる際、教員の方から、英会話が始まる時以上にどうしていいか分からないというお話がありました。

そこで、まずは教員の方に、プログラミング学習とはこういうものだというセミナーを受けていただき、いろいろディスカッションをしながら、ドローンを活用したプログラミングの授業をつくりました。ドローンがミッションに沿って1、2、3、4のパネルを通るというプログラムを、児童たちがスクラッチ(教育用プログラミング言語及びその開発環境)で組んで、Tello(ドローン)を飛ばしてみる、という授業です。この授業は今、他の小学校にも広がっています。

中学校に関しては、技術の時間で、micro:bit(教育用マイコンボード)を使った授業をしていこうという話をしています。

高校に関しては、南島原市内にある2つの高校のうちの1校に、パソコン部の外部指導員という形でミナサポが入っています。ここでは、Python(プログラミング言語)を使って、Raspberry Pi(教育用マイコンボード)やPi-Stop(Raspberry Piに挿すだけで使える信号機型LED)を動かしたり、Tello(ドローン)を飛ばしたりしています。

もう一つ、ミナサポの取組みについてお話します。ミナサポでは、オンライン研修会やオンライン授業の技術サポートを行っています。例えば、認知症サポーター養成講座、これは認知症とはこういうものだよと、皆さんに知っていただく内容です。また介護支援専門員、ケアマネジャーなどに、オンラインでの研修会などを行っています。

南島原市では、今、九州初の電子地域通貨、MINAコイン、スマートフォンによる電子決済を進めています。

そのMINAコインユーザーに向けた新しい電気プランを、メディアに発表するオンライン記者会見の技術サポートも、ミナサポで行いました。

もう一つ、これは少しIT、IoTから離れてしまうかもしれませんが、南島原市の基幹産業は農業になります。農作物の生産量はすごいのですが、生産に負われ、売り込むことができない。人手が少ないので広告もできない、販売にも行けない、バイヤーさんとの交渉もできない、そういった声があります。

また、ふるさと納税の返礼品への登録に関しても、自分たちはインターネットがよく分からないからできないというお声をいただきます。そこで、ふるさと納税の返礼品への登録の相談は、ミナサポにどんどん言ってください、私たちでサポートします、ホームページの相談も言ってください、サポートしますという、産業支援事業を行っています。

例えば、旅館のロビーなどで売られていた商品を、ふるさと納税の返礼品へ登録したり、地元の直産所の野菜をセットにして販売したり、宿泊プランをチケットにして、ふるさと納税の返礼品へ登録するサポートなどをしております。釣り体験や、いろんな良い商品を集め、ふるさと納税の返礼品として、出品サポートを行います。

ホームページに関しても、ホームページを作りたいけれども分からないという方に対して、作り方をサポートしています。例えば、BASEを使い、こういうふうにECサイトを立ち上げたらいいですよという、技術サポートをしています。

「自治体・ベンチャー・大企業の共創による地域のDXを実践」
ハタプログループ 代表取締役 兼 株式会社ミナサポ 取締役 伊澤 諒太 様

ハタプログループの代表取締役、伊澤諒太と申します。今回、ハタプロの代表と、ミナサポの取締役、2つの立場でプレゼンをしていきたいと思っております。よろしくお願いします。

私はハタプロとミナサポ以外にも複数の会社を立ち上げて経営していまして、いわゆる連続起業家といわれるカテゴリーの起業家になっていっております。人工知能やロボットなど最先端の技術を生かしたデバイス・ソフトウエアの開発及び導入の最前線の知見があるという所が特異的な経験となっています。

 

ハタプロでは、AIやロボットの、特にハードウエアを絡めた領域での技術を軸にさまざまな会社と共創、共同の価値創造をしています。

私は、ずっと、自分たちの技術で社会や地域のためになる物を作っていきたい、その中でも私自身が地方の出身ということもあり、地域貢献というところで、何か関われる機会があればと思っていました。そんな時、すごく優秀で熱意のある、南島原市の方たちと出会い、ミナサポを設立する経緯になりました。

私が、そのような南島原市の方と出会ったきっかけは、今回、皆さまが参加されているSDGsデジタル社会推進機構(以下、ODS)でした。私はODSの前身となる、ソフトバンクの孫正義氏が2003年に設立したブロードバンド推進協議会(BBA)という団体の会員として活動をしていまして、その時、今のODSと同じく、自治体とベンチャー企業の交流の機会があり、そこで南島原市の方たちと出会い、コミュニケーションを繰り返しているうちに、当時弊社が力を入れていた新しい通信技術の実証実験のフィールドとして、市の案を活用してみようということになりました。

当時、この領域で、この技術の検証をしていたのは、業界の中でも新しいことだったのですが、それを南島原市で、市の協力を得てやりました。

その後、実証実験以外の領域でも、どんどん新しいことを南島原市に取り入れていきたいという市の方たちの思いがあり、私もその熱意に非常に賛同し、お互いの熱意がいい形でぶつかり合って、地域版IoT推進ラボという当時経産省が推進した、企業と自治体とでコンソーシアムを組むプロジェクトによって南島原市とコンソーシアムを共同設立するという流れになりました。

そのコンソーシアムを運営している間、同時に南島原市の方たちから、企業誘致もご提案を受けていました。最初は、「南島原市がオフィス移転などに補助金を出します」というような、企業誘致の仕方を受けていました。しかし市の方たちが、会うたびに提案をブラッシュアップされる中で、ある日、逆に「ハタプロさんが、南島原市にお金を出してください」という提案をいただきました。

ベンチャー企業をやっていると、様々な地方自治体から、毎年たくさんの企業誘致を受けます。皆さんから、こういう補助金がありますとか、こういう助成金をあげますとか、そういう提案をいただくのですが、ベンチャー企業側からすると、補助金などは、ほぼ全ての自治体にあるものなので、あまり変わり映えがしないのです。

けれども、南島原市は逆に、お金を出してくださいという。詳しく話を聞いてみると、先ほどお話にありましたミナサポの構想、市が市外の企業と協力しあって電力小売事業を立ち上げ、立ち上がった後は自立自走して収益を出し、その収益をまたさらに市に還元して、「市が市の課題を、財源対策から含め自力で解決していく」、また「出資企業にもエコシステムの一端として、還元が行く」という、出資した企業も南島原市も両方ともハッピーになるというミナサポの構想をお伺いしました。さらには、日本全国を見ても、新しい取り組みということで、そこに市のベンチャー精神を感じまして、それは面白い、ぜひやりたいということで、出資に賛同しました。

ただ、出資に賛同したものの、こういった半官半民というような企業は、例えば、市の公共施設に提供する電力を、新しい会社一社に切り替えていくための調整や、市議会の調整など、実際設立しようとすると時間がかかることが多いので、設立まで2~3年ぐらいはかかるのかと思っていました。

しかし、市議会への調整など、さまざまな対応を市と共同で一体感を持ってやっていき、法規制なども含めて、あらゆるハードルを一致団結して突破していき、わずか半年で設立に至りました。

一緒に新しい価値、本当に良い価値を市に生み出していこうと、市とベンチャーが、市内、市外にかかわらず、実際に、対等に、汗をかいたという姿勢に感銘を受けています。今、ミナサポは、単純な営利企業だけに限らない、公と民間が組み合わさった、新しいモデルケースになってきていると思いますので、設立してよかったと思っております。

最後にミナサポとして、地域のDXの事例を紹介したいと思います。南島原市の課題の一つとして、地域の高齢化により、行政および自治会の、独居高齢者への見守りが困難になってきているということがあります。

この課題を解決するためにZUKKUという製品を作っています。ZUKKUは、身長わずか10cm、手のひらサイズの見守りAIロボットです。ZUKKUは、独居高齢者の話し相手となり、会話の内容から、さまざまな情報を読み取ることができます。ZUKKUは、会話を通じた楽しみを提供するとともに、ご家族へ近況を報告します。離れていて目の届かなかったご家族も、ZUKKUを通して、コミュニケーションのきっかけをつくることができます。毎日飲んでいるお薬など、決められた時間にお知らせする伝言板の機能もあります。

ZUKKUは、既に他でも販売している製品ですが、ポイントとしては、ミナサポがこの製品を、ただ仕入れて売っているわけではなく、より地域に根ざした課題解決にむけて、より地域に導入しやすいように、ソフトウエアの仕組みや、サービス導入体験などを、カスタマイズをして提供しているという点です。

ミナサポの持つ、地域の意見を常に吸い上げられるという特徴を生かし、そこにミナサポのITの知見を併せ、地域が本当に活用できる製品を提供しています。こういった、いわゆるDXと呼ばれるサービスを、ただ仕入れるだけでなく、しっかりとITの知見を持って、ソフトウエアを、地域に根ざした、地域に導入しやすい形に、開発やカスタマイズをし、普及をしています。

そのために、ミナサポの社員自体もITの高いスキルを持っています。また、その高い知見を生かして、IT教育を自社の社員だけでなく、小学校、学校や他の地域の方たちに教育を提供するということも行っています。そういったことを、自前の独立した財源で行っているという所が、ミナサポの、私から見た素晴らしさであると思っています。地域の人間が、自らの高いITの知見を活かし、外部の企業と対等な立場で、地域に根差した課題を、地域に最適な形で解決し、さらに新しい価値を地域に生み出していく、そういったことができるのが、ミナサポだと考えています。